ホワイトな空間 2 目次 1 3 4 5 6 |
「ニャンタ登場」 ニャンタは、お友達のこと、少しうらやましいと思っていました。 みんなはお金を持っているのです。おやつには自分の好きなものを買って食べるのです。 シールだって、ニオイのする消しゴムだって自分で好きに買えるのです。 ある日、「いってきまーす!」 ニャンタは、「どこ行くの?」と言うお母さんに返事もしないで表に飛び出して行きました。 その時です。突然稲光がして雷鳴がとどろいたのです。 角まで走って行っていたニャンタが、「わ〜ん」と泣きながらすっ飛んで帰ってきました。 「ゴメンナシャイ! 悪いことしたからバチがあたっちゃった。」 さし出したニャンタのゲンコにはお金がしっかり握り締められていました。 お母さんは大まじめな顔でニャンタのゴメンナサイを聞きながら、ニャンタの成長についていけず かわいそうな思いをさせてしまったことを反省していました。 あの時の神業のような雷は、お母さんとニャンタの両方を助けてくれたのです。 |
「すっぱい葡萄」 イソップの話に、手の届かなかった葡萄をあきらめるのに、狐が「あの葡萄はすっぱい」というのがあるけど あれはどんな教訓だったんだろう。 何かをあきらめるとき、そのものに価値がないと思ったり、価値は認めても自分には向いてないと思ったり、 私達は機嫌よく生きていく為に、あの手この手で納得しようとする。 勿論、運の悪さや人のせいにすることも含めてごく自然のことだ。 しかし一方で、なんとしてもあきらめきれない場合もある訳で、そんな時自分の力不足、努力が足りなかったことを しみじみと噛みしめ、地団駄踏んで悔しがる。 そのエネルギーが次なる力になることを思うと、あの話は真っ当に悔しがりなさい 上手くかわしていたのでは何も解決しませんよということなのかな。 それとも私が忘れてしまっている話の続きがあったのかしら。 |
「父のこと」 こんな時、父ならどう言うだろう、どんな感想を持つだろう。よくそんなことを考える。 懐かしい声、独特のしゃべり口調がよみがえる。 父は私が理解して欲しいと思うように、私を理解してくれた。 ただ話しかけるだけで、あの楽しかった、安心できた時の気持ちになれる。 それなら、生きている時と、死んでしまった今と、どれほどの違いがあると言うのだろう… 父は望んだことのうちどれだけのことが叶ったんだろう。 私には、父の喜ぶ何かを受け取ってもらうことはもうできない。 それは、けして触れることのできない寂しさでもある。 |
「小さなミンミン」 まだ小さかったミンミンが入院していたとき、その病棟にはひどい怪我の人が大勢いた。 その中に、時々出会う片足をなくした男の人がいた。 ある時、お見舞いに来ていた女の子が「おじちゃん、どうして脚がないの?」 一瞬なんとも言えない表情をしたその男の人は真っ赤な顔になって「おじさん、自分で脚食べちゃったんだよ」 「うっそだ〜」女の子はからみつく。 女の子の母親は「子供は無邪気だから」と笑っている。 ミンミンのお母さんは少し腹が立っていました。その時です。小さなミンミンがそっと 「どうしてあの子あんなこと言うの?おじさん、きっと悲しんでいるのにね。」 お母さんはなんとなくホッとした気持ちになって、ミンミンと手をつないで、また病院の中の散歩を続けました。 |